建替え工事の際のトラブルで知っておきたい!建築法系の規制

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建替え時にはさまざまな工事や工程が続くため、工事で気を遣う対象は近隣だけではなくなってきます。それぞれの対象に対策を講じておかなければならないこともたくさんあるのですが、そこにおいて建築基準法や都市計画法というものはしっかりと押さえておかなければなりません。法律上にはさまざまな定めがあり、クリアしておかなければ違法建築にもなりかねないのです。

基本的には建築業者がしっかりと把握しているものではありますが、施主も一通りは知っておくといいでしょう。

都市計画法とは

土地にどのような建物が建てられるかを定めているのは都市計画法です。

都市計画法では、都市計画区域(これから開発をしていく地域)と市街化調整区域(しばらくは開発は行わず、緑地を残していく地域)とに分類されており、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため、市街化の発展に関するルールが設けられています。

こちらの決定は都道府県や国土交通大臣といった行政庁が決定しています。

用途地域

宅地には用途地域といったものがあり、主に用途の混在を防ぐことを目的として作られました。

特に住居、商業、工業など、市街地の大枠の土地利用を定めるもので、平成30年4月からは新たに1つ増え、13用途地域となりました。都市計画法に則り、概ね5年に1度全国一斉に用途地域の見直しが行われています。

それぞれの地域によって建てられるものが異なるほか、中には高さの制限などまである地域もあります。

この都市計画と用途地域の分類により、建てられるものが異なってきます。

13用途地域の中でも一番規制の多いのは「第一種低層住居専用地域」で、おおよそ2階建ての住宅が建ち並ぶ地域です。例外としては小規模なお店や事務所を兼ねた住宅、学校などがあります。この地域での建替えで注意する点は以下の通りになります。

第一種低層住居専用地域における規制の種類

絶対高さ制限

「第一種低層住居専用地域」・「第一種低層住居専用地域」・「田園住居地域」には絶対高さ制限というものがあり、建築物の高さは原則として10mまたは12mのうち都市計画で定められた高さを越えてはならない、という制限があります。

北側斜線制限

北側斜線制限とは、敷地の北側にある道路や隣地から発生する架空の斜め線による制限のことです。

建物を建築する際は、高さがこれらの斜線を越えて建築することは違法です。

5mの基準の高さから北側の敷地境界線までの距離の1.25倍以下に建物の高さが制限されます。

戸建てやマンションなどで、屋根や屋上から斜めにカットされている形状のものを見かけることがありますが、それは北側斜線制限の範囲内で高さや容積をできるだけ保てるように設計した結果そうなっているのです。

突然隣の土地に高いマンションなどが建ってしまうと、その影響で日陰になり快適ではなくなってしまいます。このようなことを防ぐためにも、高さや日照に関係のある規制があるのです。

容積率

新しく建築をするときはよく耳にする用語で、家を建てるときには建ぺい率と容積率は非常に重要なものです。簡単にいうと、敷地面積の対する延べ床面積の割合です。

計算式は、「容積率(パーセント)=各階床面積の合計/敷地面積×100」

昭和38年(1963)以前は、建築物の規模の制限は住居系の20m以下とそれ以外との区別で、それらは絶対高さの制限と建ぺい率の制限によって間接的に制限されていました。当時それほど厳しい規制はありませんでした。

しかし、昭和38年(1963)に改正されて建設大臣が必要と判断した場合は、第一種から第十種までの容積地区を指定することができるようになりました。

昭和46年(1971)の改正で現行の容積率となり、その後も細かな改正が何度か施され、全国に適用することとなったのです。

「第一種低層住居専用地域」・「第一種低層住居専用地域」・「田園住居地域」の指定容積率は50・60・80・100・200パーセントと、それぞれありますが、高さ規制があるために上限の容積率で建築ができない場合もあります。

また、前面道路の幅員によっても容積率の上限が決まるので、以前に建てた時と、今回の建替えの時とでは、建築できる上限が変わっている可能性も十分にあります。

建ぺい率

建ぺい率は、日照や風通し、採光や防災など、敷地内に空き地を確保するといった目的のためにできた制度です。

容積率同様に、昭和38年以前には建築物の規制は緩いものでしたが、その後に改正され現在のものとなっております。

計算式は「建ぺい率(パーセント)=建築面積/敷地面積×100」

「第一種低層住居専用地域」・「第一種低層住居専用地域」・「田園住居地域」の建ぺい率は30・40・50・60パーセントになっています。

建ぺい率には上乗せできる緩和条件というものがあり、「防火地域」や「耐火建築物」であれば、用途地域で定められている建ぺい率に10パーセント加算することが可能です。また、「角地」であっても延焼を防止して風通しも支障がないと考えられるので、こちらも建ぺい率を10パーセント加算することができます。

将来、どんな家を建てるかを思案したときには、土地と建物の広さのそれぞれを踏まえて考える必要があります。したがって、建ぺい率も重要な要素のひとつです。

できるだけ広い家を建てたいと考える人は、このような緩和措置を踏まえて設計するのもよいでしょう。

接道

接道義務

建築基準法での接道とは、建物を建てる敷地に面している道路です。

幅員4m以上の道路に2m以上接道していないと、建物が建てられません。これが満たされていないと、建物に違法性がなくとも、接道の要件を満たしていないので違法建築となります。

幅員4m以上の道路に土地が接道していなければ家を建てられない規制において、なぜ、2mと定められているのかは、緊急時に消防車や救急車がスムーズに通れるようにするためです。さらに、災害時において迅速な避難をするためにも、接道の範囲は重要です。

接道義務は幅員4m以上の道路に対しての規定ですが、中には4m未満の道路に接道することも認められています。建築基準法によると、幅員1.8m以上の道路ならば「道路幅が4mある」と想定して建物の建築が可能です。

今でも残っている古い街並みや寺町など、車がなかったころに造られた道路ともなると幅員の狭い道は珍しくありません。

道路の種類

1号道路とは

県道・市道などの道路で、都道府県や各自治体によって管理されているものです。

2号道路

土地の開発許可などによって造られた道路。その為土地開発の結果できた道路です。

3号道路

建築基準法が適応される以前の道路。具体的には「昭和25年11月23日」時点で存在していた道路です。その為、3号道路は「道幅が狭い」などの問題を残しています。

4号道路

都市計画法等により、2年以内に新設または更新される予定の道路です。

5号道路

民間が申請をしたことで特定の行政庁から位置の指定を受けた道路。家を建てられる目的などがあって造られています。

接道義務に満たない土地

接道要件に達していない土地の建築は不可となっています。建物を解体するのは可能ですが、再建築は不可なのです。

ではなぜ、そのような物件があるのかというと、単純に接道義務がなかった時代に建てられていた建物が、今もたくさん残っているからなのです。また、家を建てた後に他の家や工作物ができてしまって「袋地」や「旗竿地」の中に建物があるようなケースもあります。いずれも再建築不可です。

まとめ

一言に新築するといっても、以前に建っていたときの法律や周辺の状況、さらには前面道路に関しても注意を払っておかなければなりません。相続したときや、古家付き土地を購入したからといって、解体して同じ規模のものが建てられるかどうかは、今の土地の状況を確認にしないことにはわからないのです。ましてや再建築不可の土地になってしまっている可能性もゼロではないのです。

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